Research

主な研究目的

 ・加齢に伴う脳老化のメカニズムの解明
 ・酸化ストレスによる脳神経退行性疾患のメカニズムの解明
 ・ビタミンE(トコトリエノール)による脳神経保護作用のメカニズムの解明



老化のメカニズムを追求する


・システム理工学部生命科学科全体でのキーワードは「老化」です。ヒトをはじめとした生物は誕生後に成長(Growth)、成熟(Mature)の過程を経て、やがて加齢・老化(Aging)が始まります。
 老化は残念なことに避けて通ることができない生理現象です。不可避の生理現象であれば、一見、老化について研究する事は、無意味なのかもしれません。しかし、我々は不老不死の薬を開発しようなどということを目的としているわけではありません。残念なことに、現在では誰もが健康で幸せな「老化」を迎えてはいません。現代医療の発展は、平均寿命を大きく押し上げましたが、それに伴いアルツハイマー病患者の増加や医療費の増加といった、新たな社会問題も起きています。
 老化のメカニズムの解明を目指すことで、老化により生じる様々な退行性変化の原因究明や治療にも、何らかの貢献ができるのではないかと考えています。

 「老化」といっても、シワの出来る「皮膚の老化」や、筋力が衰える「肉体的老化」など様々です。生理化学研究室では、この中でも特に「脳老化」に特化して研究を行っています。生命科学科全体でのキーワードは「老化」です。研究は、効率の向上を目的として、同じく生命科学コースにある生体調節研究室(新海 正教授主宰)や他の外部研究機関と積極的に共同研究を行います。


時間軸で異なる老化

・老化研究は世界中で行われています。その為、「老化」の概念・捕え方・考え方も様々です。多くの書物によるとその考え方は大きく分けて2つあります。

生まれた瞬間から老化が始まっている−これは、「老化というものが不可逆的な退行性変化である」との考えがもとになっています。誕生した瞬間、いや受精卵が出来て細胞分裂が開始された瞬間から元には戻れないのだから老化は始まっている、との考えです。この考え方は長期的時間軸での老化、とも言われます。
成熟後に起こるのが老化−これは、成熟するまでは個体は成長しているのであって、決してこの段階は老化現象ではない、との考えに基づいています。この考えでは、成熟後の加齢の段階からが生体としての老化になります。これは上述した老化と比較するために短期的時間軸での老化、とも言われます。

 いずれにせよ、これらの考え方だとiPS細胞による再生医療を、「老化」という視点からはどう解釈すればよいのか悩みます。



図 老化曲線 ヒトの一生は弓矢の軌跡に似ています。様々な病気にかかる事で老化の角度は大きくなりその分、寿命が短くなります。この際、たとえ病気が治ったとしても、老化の角度は緩くなりますが、決して元の老化曲線に戻ることはできません。では、老化の原因としては何が考えられるのでしょうか?次項では老化のフリーラジカル説について説明します。  →次へ

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芝浦工業大学
システム理工学部 生命科学科 分子細胞生物学研究室